「やりこみとは何か?」

30年後の社会学者はこの未解決問題に音を上げるだろう。
世界中のネットコミュニティに貼られるキチガイじみたAAと定型文。
少し調べればそれらは「がんてつ」「本物」「鉱石」などのフレーズがトリガーと成っていることに気付く。
軽薄な者は、一時の下らないブームだと笑い飛ばすだろう。
実直な者は、偶発的なブームにしては規模が大きすぎることに気付き、
誰か「仕掛け役」が居るはずだ、と考えるだろう。
彼らは憶測する。
「広告代理店の新たな煽動キャンペーンか?」
「反社会的集団による示威運動の一種か?」
「巨大な研究機関によるネット伝播率の実験か?」
優秀な者がいれば、もしかすれとこのスレのログにたどり着くかも知れない。
だがそこまでだ。やりこみに「仕掛け役」など居ない。
「実態が無い」ことの証明はほぼ不可能で、彼らは存在しない実態を探し続ける。
彼らが情報統合社会におけるスタンドアローン・コンプレックス現象の脅威に気付くのはその後だ。