訪れを拾っていく

「自動筆記」というものをご存知でしょうか。
いわゆるチャネリング手法の一つで、あたかも何か別の存在に憑依され、自分を支配されているかのように、意識とは無関係に何かを書き出してしまう現象を言います。
とはいえ、自動筆記やチャネリングなど、大げさな言い回しなどしなくても、私たちは日頃から少なからずこうした体験をしているのであり、高野文子さんもそれに気付いて、自身の創作に取り入れていたのではないでしょうか。
それは聞き間違いや、雑踏でなんとなく耳に入った言葉、不意に口から出た一言だったり、なんとなく足が向いた路地や、なぜか立ち寄ってしまったお店など、じつにさまざまな形で私たちの体に降りてくるもの。
ただそのことに気付くには、いわば「意識的無意識」というニュートラルな意識状態を、意図的に作り出せるかどうかが問われていきます。
開かれつつ、待っていること。我慢強く。
緩急をつけて。そして、捕まえた途端に記録してみること。
この一連の流れを、今週はどうか大切にされてみてください。

今週のキーワード
「意識的無意識」で生きる