(つづき)

歩く速度を落とす

昔の人はとにかくよく歩いたと言います。
個人的にも、子供の頃に親戚のおばさんの家へ遊びに行った際、ちょっとそこまで花火を見に行こうと言われ気軽な気持ちで付いていったら、
なんだかんだと二つの山を越えさせられて、花火を見る頃にはすっかりくたくたになってしまった思い出があります。

おそらく、地図の上で考えれば、実際そんなに大した距離ではありませんでした。
ただ、子供の頃の自分にとってはとてつもない旅であり、
山を越えるたびに世界がどんどん変わっていったのをよく覚えています。
それはおそらく、場所から場所への距離感は同じでも、
高速移動やハイスピードに慣れ、電車やバスや自動車の速度で物事を感じたり考えたりするのが
当たり前になってしまった現代人には見えてこない風景なのでしょう。

今週は、徒歩には徒歩なりの思考があるということを、どうか思い出してみて下さい。
そして普段よりもゆっくりと思考の流れや連続性を感じてみることで、
「迅速性」や「効率」といった都市的な価値観からこぼれ落ちていたものが実感されてくるはずです。

今週のキーワード
歩く姿勢の美しさ