2020年03月30日〜2020年04月05日 今週の運勢
夕映えの水面の上で

老境の眼
今週のしし座は、暗闇のなかから窓の残光を眺めること。あるいは、水底からの問いかけに耳を澄ましていくような星回り。
コンラート・フェルディナント・マイヤーという19世紀スイスの詩人は、時と時とのはざま、静寂が深く静まった瞬間について、次のような詩を書き残している。
「おさめたわたしの櫂から水が滴り、雫はゆっくりと深い水に落ちる。
心を悩ませたものも、喜ばせたものもの尽き、苦しみのない今日が流れ落ちる。
そしてわたしの下では、ああ、光の中から失せて、 わたしの生涯のより美しかった時たちがすでに夢を見ている。
青い水底から昨日が呼びかける。 光の中にはわたしの姉妹たちがまだ幾たりも残っているのでしょうか、と。」 (古井由吉訳)
この詩には「おさめた櫂」という題が付けられており、オールをひきあげた、夕暮れ時のボートのあがりの情景だろう。水面の夕映えには、まだ過去の「姉妹」たちが、まだ過ぎ去らずに漂っている。
同様に、我が眼はまぶたで閉じられようとしているが、まだわずかに開いており、強い光のもとでは見ようとしても決して見えなかったものが、今や自然と像を結んで浮かび上がってくる。
4月1日におうし座から数えて「内奥の自己との直面」を意味する12番目のかに座で、上弦の月(殻破り)を迎えていく今週のあなたなら、
老境に達した詩人のように、ふとしたきっかけから無知という自身の無明をひらいていくことができるかも知れない。