飼い主孤立、ごみ屋敷に猫30匹 深刻「多頭飼育崩壊」

ペットの猫などが増えすぎて適切に飼えなくなる「多頭(たとう)飼育崩壊」が問題になっている。
飼い主は親戚や地域の付き合いが薄く、社会的に孤立している傾向にあり、家はごみ屋敷になっていることが多い。
ふん害など、近隣住民の生活環境問題としても深刻で、ボランティアや行政は対応に苦慮している。(藤森恵一郎)

7月上旬、兵庫県丹波市。ボランティア団体「One for Mee@丹波」が、1人暮らしの高齢男性宅で飼われていた猫22匹を保護した。
男性が倒れて入院したため、2週間近く餌を与えられていなかった。逃げた猫も含めると、約30匹はいたとみられる。

代表の足立真紀さん(44)らが男性の許可を得て家に入ると、足の踏み場もないほどごみがたまり、大雨による浸水のためか、床は一部が抜け落ちていた。

「近所付き合いもなかったようで、寂しさもあったのでは」と足立さん。「表面化していないだけで、他にも似たようなケースはあるはず」と懸念する。

現に、今年だけでも西宮、川西、明石市などで同様の事例が確認されている。神戸市動物管理センターでは、
飼い主から一度に猫10匹以上を引き取った事例が、2016年度=2件▽17年度=3件▽18年度=3件▽19年度(11月末現在)=1件−あった。

まずは多くのペットを安易に飼わないようにするため、大阪府や京都市などは条例で、猫を10匹以上飼育する場合などに届け出を義務付けている。

ただ、兵庫県動物愛護センター(尼崎市)は「2匹でもきちんと飼えていない飼い主もおり、(義務化の)線引きが難しい」と説明。
「飼い主責任や不妊手術を受けさせることの啓発に力を入れたい」としている。

■貧困背景、福祉と連携し対応
ペットが増えすぎて飼えない問題は、飼い主の社会的孤立や経済的困窮などの要因が背景にある。
このため、動物愛護の関係者だけで対応するのではなく、社会福祉分野と連携する動きが加速している。

明石市は8月、あかし動物センターを事務局として、市の福祉部局や民生・児童委員、獣医師会などで構成する「人と動物の共生によるまちづくり連絡会」を立ち上げた。

メンバーに入っているボランティア団体「動物と共生するまちづくりの会」代表の村岡真澄さん(60)は
「ケースワーカーらが多頭飼育に関する知識を持っていれば、連絡を取り合って素早く対応できる」と期待する。

尼崎市動物愛護センターも現在、福祉部局とともに施策を検討している。

環境省は今年、不適正な多頭飼育について、社会福祉分野と連携した対応策を専門家が議論する検討会を設置。
2020年度のガイドライン策定を目指している。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191228-00000011-kobenext-soci