架空の「猫殺しの連続犯」を追い続けた警察 3年の捜査の末にたどり着いた答えは…
https://www.buzzfeed.com/jp/patricksmith/the-crazy-story-of-how-british-police-spent-three-years-1

イギリス郊外で暮らすペットたちの身には、数年前から危険が迫っているようだった。
サウスロンドンから静かに始まった猫の連続死は、やがてイギリス全土に広がり、何百匹もの猫の死骸は、「クロイドンの猫殺し」のしわざと目された。

メディアと、サウスロンドンを拠点に活動するあまり知られていない動物愛護団体は、
この連続死はイングランド南東部全域からミッドランズとその先にまで広がりを見せており、うさぎも標的にされていると主張した。

警察はこの事態を深刻に受け止め、単独犯が猫を次々と刃物で殺害し、
死骸を切断しているという仮説を検証すべく、15人の警察官からなる特別捜査チームを結成した。
猫の死骸が増えていくにしたがって、警察の捜査はイギリス全土に広がり、世界各地でニュースとして取り上げられるようになった。

しかし、このシリアルキラーによる犯行という仮説には、ひとつ問題があった。この仮説は正しくなかったのだ。

ロンドン警視庁は2018年9月20日、約3年間にわたって400件以上の事例を調査したが、
疑わしいケース6件を除くと、背後に猫殺し犯はいないと思われると発表した。

(中略)

時計の針を2018年7月まで進めよう。そのころには、猫殺しのニュースは大勢の目に、「疑わしい」ではなく「完全な間違い」と映るようになっていた。

ブリストル大学で環境科学を研究していた元教授で、都市部に生息する狐の専門家でもあるスティーヴン・ハリスは『ニューサイエンティスト』誌で、
警察が犯人をつかまえられていないのは、そんなものはいないからだ、と述べている。

ハリスはその記事のなかで、クロイドンの猫殺しをめぐるパニックと、1998年に起きた猫の連続死をめぐる、
似たような騒動(後者のケースではロンドン警視庁が「オベリスク作戦」を展開した)を比較している。
今回の騒動では、ハリス自身も何匹かの猫を調べている。
そして、猫たちは自動車にはねられたあと、その死骸を狐にバラバラにされたことを、自分の目で確かめている。

頭と尻尾がなくなっているのはナイフを持った人間のしわざでしかあり得ない、
というSNARLとその支持者の主張については、どう説明するのだろうか。
「狐には、死骸の頭や尻尾をかじりとる習性があることは何十年も前からわかっている。
猫の死骸も例外ではない」と彼は記事のなかで述べている。

怒り心頭のSNARLは、ハリスの言説をはねつけ、
自分たちの証拠は人間のしわざであることを示しているとの主張をいまだに変えていない。