岐阜市立の岐阜市民病院(同市鹿島町)が、労使協定(三六協定)で定めた月百時間の上限を超える残業を勤務医にさせたとして、
岐阜労働基準監督署から是正勧告を受けた後、上限を百五十時間に増やす協定を結び直していたことが分かった。

 病院によると、二〇一六年五月に締結した労使協定では、勤務医の時間外労働を「年六回を限度に月百時間、年間八百七十時間まで」としていた。
同年十一月の労基署の調査で上限を超えて勤務する医師が複数いたことが発覚し、労基署が病院に即時是正を勧告。これを受けて病院側は今年五月、「年六回を限度に月百五十時間、年間千百七十時間まで」とする協定を結び直していた。

 時間外勤務の削減を求めた労基署の勧告とは逆の内容の協定について、病院政策課の担当者は「電子カルテシステムの見直し作業などで残業時間が増え、即座に対処するには、こうするしかなかった。
今後、労働環境の改善に努めたい」としている。同病院では現在、百三十五人の医師が勤務している。

 勧告後の病院の対応について、「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子さん(68)=京都市伏見区=は「市民の命を守る職場で、働いている人の命をどう考えているのか。強い憤りを感じる」と話した。

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