京都府京田辺市の産婦人科医院「ふるき産婦人科」で2012年11月、麻酔で痛みを和らげる無痛分娩(ぶんべん)で出産した母子が重度の障害を負った事故で、
京都地検は30日までに、業務上過失致傷容疑で書類送検されていた同医院の男性院長(55)を不起訴処分(嫌疑不十分)にした。処分は27日付。

 地検は「過失を認定するに足りる十分な証拠の収集には至らなかった」とコメントした。

 ロシア人の元大学准教授エブセエバ・エレナさん(40)は2012年11月7日、同医院で無痛分娩を希望し、背中に差し込んだ細い管を通じて麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を受けた。
直後に容体が急変して心肺停止状態となり、搬送先の病院で生まれた長女みゆきちゃん(4)とエレナさんは意思疎通ができない重い脳障害を負った。

 エレナさんの夫(55)=京都市左京区=らは昨年12月、同医院に対し約9億4千万円の損害賠償を求めて京都地裁に提訴。
今年8月には、誤って管で硬膜を破り、短時間で高濃度の麻酔薬を過剰投与したなどとして、業務上過失致傷の疑いで、院長を京都府警に告訴した。

 府警は今月13日に書類送検したが、公訴時効(5年)が来月上旬に迫るなか、地検が過失の有無をどう判断するか注目されていた。

 不起訴を受けて、夫側の代理人弁護士は「過失が認定されると思っていたが残念な結果だ」と話した。

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