猫好きがかかえるこころの闇

「人目を気にしているのか、いつも俯きながらやって来て、そそくさとネコの世話だけして帰っていきます。もう5年以上、あのネコを可愛がっているんじゃないでしょうか」(近隣住民)
ブツブツと独り言を言いながらスマホでネコの写真を撮ったり、ネコの小屋の周りを片付けしたりした後、女性は荷物が詰まったキャリーバッグをガラガラと引きずりながら、
競歩選手のようなスピードで来た道を引き返していった。
ボサボサの髪にキャップを目深に被り、両耳にはイヤホン、いつも黒いキャリーバッグを携えて、小田原の街を一人、歩く。
ある時は大手を振って、またある時は止まってしまうようなスピードで…。
「藤谷さんは何年か前までこの近くに住んでいたんです。その頃からあのネコを可愛がっていたんですが、引っ越してからも気になるらしく、よくこの辺りで見かけます。
この前も近所のコンビニでネコのエサを買っているのを見ました。歩きながら一人で微笑んでいることもあります」(前出・住民)