ロシア軍によるウクライナ侵攻をめぐって、国際的な非難が高まる中、SNS上では、ロシア人に対する誹謗中傷・嫌がらせも広がっている。

日本国内も例外ではない。NHKによると、千葉市で料理店を営むロシア人のSNSには「母国に帰れ」という書き込みがあったという。
また、日本に住むロシア人YouTuberのコメント欄にも嫌がらせがあったようだ。

実際にツイッターを検索してみると、「ロシア人は日本から出ていけ」「ロシア人を日本から追い出せ」といった言葉が少なからず投稿されていることがわかる。
ここには書きたくないようなひどい投稿も見つかる。

日本では、2016年から「ヘイトスピーチ解消法」が施行されているが、在日ロシア人に対して「出ていけ」などというような投稿は問題ないのだろうか。神原元弁護士に聞いた。

●「国は緊急で調査して、差別的言動に対して批判声明を出すべきだ」

――そもそも、ヘイトスピーチ解消法の対象に「ロシア人」は入る?

ヘイトスピーチ解消法は本来、在日コリアンを念頭においた法律ですが、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動は許されない」と書かれています。

したがって、ロシア人のほか、ロシア人と日本人との間の子ども、帰化した人も「本邦外出身者」に含まれるので、彼・彼女たちに対する不当な差別的言動も「許されない」ということになります。

――具体的にはどのようなものが「不当な差別的言動」にあたる?

たとえば、著しく侮辱するようなものです。「ロシア人は●●だ」「日本から出ていけ!」「日本から帰れ!」というものも対象範囲に入ります。
もちろん「ロシア人を殺せ!」というのはもってのほかでしょう。