超純愛小説「長老と北川景子」
12
亜佐美は優しく長くハグしてくれ、俺は抱きついた。優しくて頭脳明晰な亜佐美なら全てを受け入れてくれる気がして
もう、この女に身も心も何もかもを委ねようと決心した。抱きしめていると亜佐美は何も言わず、優しく私の頭を撫でてくれた。
「もう、心配いらないからね。私が兄弟を必ず救ってあげる。」泣き止まない俺をさらに強く抱きしめてくれた。少し冷静になると
亜佐美は「私と無理やり関係を持つことはないからね。今日は兄弟の苦しみを少しでも和らげられたらいいな。」
「ありがとう」声にならない小さな声で答えると「今の私の実力じゃ、よく分らないけど、何年かかっても兄弟を救ってあげるからね。
私が小さい頃イジメに遭った時、兄弟はいつも救ってくれたじゃない。その恩返しだと思ってよ。」
「そんな、救ってなどいないよ。」と答えると。「分かってないな。兄弟がいなかったら、私は今生きていないかもしれないんだよ」
「大げさだな。」と軽く応答すると、
「ううん。全然大げさなんかじゃないんだよ。中学生の時、毎日イジメばかりされて死ぬ事ばかり考えてたんだ」
俺はいきなりの亜佐美の過去を聞き、我に返った。「私達、神から選ばれた尊き兵士よね!」と明るく笑いながら亜佐美が言う。
覚えてくれていたんだ、あの合言葉を。嬉しさと彼女のこれまでの苦労を労おうとすると、
「あのね、私、大学で心理学かじってね、一応、そのあと大学院へ行って実は、臨床心理士のライセンスだけは持ってるんだ。
けど、カウンセラーは就職先なくてね、まあそもそも食べていけない資格なんだけどさ。別の仕事してるってワケ。
だから、実践経験はないけど、隼人兄弟の辛さを癒してあげたいな。ダメかな?こうなったら一晩中でも話そうよ」
「うん。ありがとう。」また小さな声で答えた。
「あと、亜佐美ちゃんって呼び方はやめて。亜佐美って呼び捨てにして欲しいな。」
「わかった。」恋人同士という感じもしたし、昔からの妹ではなく対等の立場に立てた気がして嬉しかった。