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びっくりして振り返り、よくよく見ると亜佐美ちゃんらしき、抜群にスタイルの良い美女が笑顔で立っていた。
「え?亜佐美姉妹?」と尋ねると
「うん。亜佐美だよ。もう姉妹じゃないんだけどね。隼人兄弟カッコよくなっちゃってさあ」と屈託のない笑顔で言う。
「またまた亜佐美ちゃんも上手いな。亜佐美ちゃんも綺麗になったね。もう、社会人かな?」
と聞くとちょっと微妙な表情で「うーん、一応ね。隼人兄弟が元気そうでよかった。」「亜佐美ちゃんも元気そうだね。」
「いろいろあるけどね。」とにっこりする笑顔を見て、かなり久しぶりに「いわゆる美しい大人の女性」を見た気がした。
「ここへは仕事かなにか?」と俺が聞くと「まあ、そんなようなもんかな」と何となく言葉を濁した感じがした。

亜佐美は6歳下の幼馴染だった。俺の親が亜佐美の親に真理を伝え、同じ小学校で中学の時に亜佐美の親が引っ越し、
巡回区も異なり、離れ離れになり会うことはなかった。
6歳違うとまるで妹のような存在で、亜佐美も長女だったから僕を兄みたいに慕ってくれていた。
確かに昔から快活なかなりの美少女で好意がなかった訳ではなかったが、何しろ子供だったので、
暗い俺にも明るくて可愛い妹がいると思うと誇らしげで自慢の妹のうに思っていた。風、の噂では頭のいい大学へ行ったとだけ聞いていた。
亜佐美は24歳にしてはかなり大人びており、美少女から美女へ完全に変貌している。
ファッションも洗練されており、雑誌モデルというより完全に大人の女だ。
モデルというよりは、美人女優の風格と余裕すら感じ、例えるならば、北川景子系の端正で理知的な顔だちの美女である。
店内が暑いのかコートを脱いでおり、薄いセーターから見える首筋は雪のように白く、胸元は目を合わせては恥ずかしいほどの
大きな膨らみを有している。僕はその美しさに呆然とし、それから何を話していいのかよく判らなくなった。