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「はい。どうぞ。」と応答があったので、深々と挨拶し「お招きありがとうございます。非常に光栄です。」
と何度も挨拶すると、山本支部委員は正装されていて、
「まあ、そこのソファーに座って頂戴。」と仰るので、
高級そうなソファーに何度も礼をして浅く座った。
部屋を見渡すとそんなに広くはない部屋には聖書文書などの文献が山のように並べられており、
支部委員のデスクとソファー一組だけ置いてある。支部委員の書斎になっている部屋とも思える。
「今日の報酬よ。最後にSMショーと、セックスで会場を盛り上げてくれたから、色を付けておいてあげたわ。」
と仰るとテーブルの上にボーンと紙袋を置かれたので、中を開けて見ると500万円以上のキャッシュが入っている。
「どう?」と聞かれたので「ありがとうございます。大変、嬉しゅうございます。」
と答えると「兄弟は素直でいいわ。気に入った!この会の事は一般信者には絶対に内密にね」
といつもの支部委員の顔に戻られた。
「私も忙しいから話は短く終わらせたいわ。話っていうのはね、阿佐美ちゃんから、隼人兄弟の
ことをよくしてくれって頼まれちゃってね。阿佐美ちゃんの言う事は断れなくてね。君を呼んだってワケ。」
しばらく沈黙が続いたが、何の話なのか俺は良く分からずにいた。
「君の望みはなに?君は何が欲しいのかな?」といきなり仰るので、「え?」とちょっと唖然とした。