について、福島県県民健康調査検討委員会の見解を明らかにした。それは、「これまでに発見された甲状腺がんについては、
被ばく線量がチェルノブイリ事故と比べて総じて小さいこと、被ばくからがん発見までの期間が概ね1年から4年と短いこと、
事故当時5歳以下からの発見はないこと、地域別の発見率に大きな差がないことから、放射線の影響とは考えにくいと評価した」というもの。
ただし、「明らかに放射線の影響」という主張や論文があることについても、報告書では言及している。
また東電福島第1原発事故で放出された放射性物質の総放出量は、チェルノブイリ原発事故の約7分の1だったとする。
また福島県の県民健康調査を引用し、比較的被ばく線量が高いと予測された川俣町山木屋地区、浪江町、飯舘村住民の調査から、
チェルノブイリ原発事故によるベラルーシやウクライナの避難者集団の平均被ばく線量に比べると「はるかに低い」としている。
今回の報告書は、国連科学委員会(UNSCEAR)をはじめとする国際機関の報告や、科学者たちによる学術論文に基づいている。
2011年3月11日の事故以降、専門家が6年以上に渡って積み上げてきた知見だ。東洋大学情報連携学部教授の坂村健氏は9月21日の毎日新聞朝刊に寄せたコラムで、
報告書について「事故後6年たっての科学界からの『結論』」とし、「一部の専門家といわれる人に、
いまだに『フクシマ』などという差別的な表記とともに、単に感覚にすぎない『理論』で不安をあおる人がいるが、
そういう説はもはや単なる『デマ』として切って捨てるべき段階に来ている」と断じた。
厳しい指摘は、マスコミにも向けられた。「不安をあおる言説を、両論併記の片方に置くような論評がいまだにある」
「健康問題を語るときに『呪術』と『医術』を両論併記するようなもの」という。さらに、
「毎日新聞を含めて報道の少なさは何だろう」と指摘。実は報告書の公表から半月以上がたち、
主要紙で取り扱ったのは読売新聞と朝日新聞だが、いずれも福島版だ。一方でインターネットメディアでは、
BuzzFeed Japanが2017年9月14日付で、東京大学名誉教授で放射線の専門家、早野龍五氏のコメントを入れて詳報した。
評論家の荻上チキ氏が編集長を務めるシノドスも、9月19日付記事で報じた。坂村教授のコラムは9月21日、ツイッターで大きな話題となった。早野龍五氏のコメントを入