入部して間もない頃、一度だけ飛行機曳航の訓練に同行した事があった。曳航機の後席に乗り離脱状況等を確認
するためであった。とにかく空を飛ぶのにがむしゃらな時期でもあった。真っ赤な機体のソアラーはスイス製の
アローという機体であった。キャップテンの山路さんが搭乗し私が曳航機のミゼット乗る事となった。ま、単発機
に乗るのは初めてであった。「バリバリ」とフルパワーでエンジンを吹かしたかと思うと、小型機はゆっくりと
ソアラーを引き始めた。曳航機にびったしついてソアラーも離陸し上昇を始めた。
さすがキャップテン、曳航機と〜シャルウィダンス〜だ。オンコース・・曳航機の翼が大きく左右にゆれたかと思った。
時、離脱だ。曳航機は急旋回降下始めた。少し耳鳴りを感じる。大空を飛んでいる小型機のエンジンのパワーはすごい。
もっと飛んでというと、操縦士は大声で笑って「みんなが待ってるから」と。我に返った。ミゼットは急旋回しながら着陸態勢にはいった。
大地に立って、青空を見上げた時。山路キャップテンの搭乗した真っ赤なソアラーがテルミックをとらえて上昇しはじめた。