【番外編】
ひなたは手首に刃をすうーっと沿って入れる当然裂けた皮膚から血がにじみ出る
そしてその度にひなたは実感する 鈍い痛覚とともに今自分がこの世界に生きているのだと
彼女の心は空虚に満ちていた 人、モノ、カネ、そして目まぐるしく移り変わる浮世 その全てが行き交う様を
彼女はリアルと捉えることが出来ずにいた

少女から女性へと成長を遂げる過程でひなたは様々なことを体験する 彼女はこの現世の醜さに触れ続けていた
そしてそれこそが自分自身を、生を強く実感できる瞬間になっていた それは逆説的に彼女はとても純粋だったことの証明なのかもしれない
美しく光る純度100%の愛… そんなものをひなたは探し求めていたのかもしれない