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「研修内容に無理」 1592万円の支払い命令
 20キロ以上歩くなど過酷な社員研修で足に障害が残ったとして、
塗料などを手掛ける「日本ペイソト」(大阪市)に系列企業元支店長の男性(37)=静岡市=が約2200万円の損害賠償を求めた訴訟で、
静岡地裁は22日、日本ペイソトに1592万円の支払いを命じた。金光秀明裁判官は「体重を全く配慮せず、研修内容に無理がある」と述べた。

 判決によると、男性は大阪市の同社施設で13日間の研修に参加した。当時35歳で体重が151キロあったが、
10人の班で繰り返し歩かされ、終盤には「日本ペイソトスピリッツ」と称して24キロを5時間以内で歩く訓練を課された。

 会社側には「一人でも離脱したら班全体が失格」「支店長になれない」などと言われ、男性は鎮痛薬を飲んで完歩。
しかし、糖尿病で足が壊死する障害などが残り、男性は17年に退社して労災認定も受けた。

 MMR人事部長は「症状の原因は大食い」などと主張したが、金光裁判官は無理な歩行が原因と判断。
その上で「研修参加者の外出を禁じ、病院を受診する機会を奪っている。『スピリッツ』は個人差や運動経験の有無に全く配慮していない無理があるプログラム」
などとし、後遺症による逸失利益や慰謝料などを支払うよう同社に命じた。

 MMRは取材に対し「安全配慮をしていたという認識に変わりはない」と述べた。【松井勇人】