円堂、鉄塔に登る。空を見る。
円:…きれいだな。あの日… 帝国との試合が決まった日にながめた空みたいだ。
 回想。
努「こーんな弱いヤツらにかまってるヒマは無いし さっさと帰ろうぜ。」
円:全国大会で優勝する…か。じいちゃん オレにはムリなのかな…。
「あら めずらしいところで会うものね。」
 円「!」夏未、登ってくる。
円:夏未…?どうしてここに?
夏:(手すりに寄る。)べつに。ここは わたしにとってもお気にいりの場所なのよ。
円:(景色を見る。)そっか …そうだったよな。
 鉄塔から望む、夕焼け空の稲妻町。眺める二人。
夏:………なさけない。ちょっと負けたくらいで 何を落ちこんでいるのかしら。
円:え?
夏:今の自分たちは もうじゅうぶんに強い。どんなヤツとも戦える…。そんな風に思っていたの?思いあがりもいいところね。
円:…!
夏:今までだって 何度も負けてきたじゃない。それでもあなたはその度立ちあがってきた。帝国学園との試合の時 けっしてあきらめなかったあなたのすがた…。
それに心を動かされて 豪炎寺くんや鬼道くんが雷門サッカー部に集まったのよ。それに わたしだって…。
円:おまえだって?
夏:と とにかく!あなたがそんなことでどうするの?こんなところで1人でなやんでいるなんて時間のムダよ!困ったことがあったらチームのみんなに相談すればいいじゃない!
グラウンドのすみっこで練習していた時とはちがう!あなたはもう1人じゃないでしょ!
円:1人じゃない…。
夏:用事はそれだけよ。…まったく めんどうをかけないでほしいわ。(下りようとする。)
円:…夏未!
夏:(振り返る)な 何よ。いきなり大声を出さないでちょうだい。
円:ありがとうな!
夏:…!ふ ふん…。
 夏未、階段を下りて去る。
円:…そうだよな。まだ終わったわけじゃない!たとえ今日は負けたって次に勝てるようにがんばればいいんだ!
よーっし こうしちゃいられない!早く学校にもどって練習しなくちゃな!

ブログ「1人で悩んでるんじゃないわよ!」
夏:あなたがそんなことでどうするの?こまったことがあったらみんなに相談すればいいじゃない!さっさと学校にもどりなさい!

 秋、鉄塔広場に駆けつける。秋「!」看板の陰に隠れる。夏未、下りてくる。去る。秋、現われる。
秋:夏未さん…?
円:(下りてくる。)あれ?木野 こんなところでどうしたんだ?
秋:あ!え 円堂くん…!その…円堂くん急にいなくなっちゃったから もしかしてここかなって…。
円:そっか。わるい 心配かけたよな。もう大丈夫だぜ!
秋:う うん。…円堂くんが元気ならいいの。そうだ 監督がね 木戸川との試合のために特訓を用意してくれるって。
円:ホントか!?やったあ!
秋:…円堂くん もう 大丈夫なの?
円:(歩き出す)ああ!いつまでも1人でなやんじゃダメだって 夏未にも怒られちゃったしな。
秋「!」そ そう…。
円:どうしたんだー?早く行こうぜ 木野!
秋:…円堂くんの ばか。