遠出の車中でなぜか子供の頃のカミナリ体験の話になって

夏休みになるとカミナリが凄かったんよ
音がゴロゴロじゃなくて、ピシャーン、ズッシーンって感じで家が揺れるの
光と音が同時
近くの送電線を直撃したときは鉄塔のてっぺんに暫く火のような明かりが灯ってるのを
見たことがある

わたしはね、遠くの山の上の雲がピカピカ光ってるのを堤防の土手の上から
眺めてた。綺麗だな〜と思ってずーっと眺めてた
あ、あの山

そういって嫁が車窓の向こう、はるか水平線のかなたの青く霞んだ山並みの中の
ひときわ高い一峰を指さした(嫁の生まれ育った町にちょうど高速が差し掛かっていた)

(方角、位置、形容)あれは(俺の町の)山やん

嫁が音のしない雷に見とれていたころ
その真下で俺は首をすくめて膝を抱えていたわけだ
まったく接点のなかった俺と嫁の幼い時間が絡み合ったような気がして
幼馴染気分を少しばかり疑似体験した気分になった
オチも何もない話だが、ちょっと嬉しかったんで書いてみた