一般的にダイナミックな物理系を解析する場合の微分方程式の解法にはすべて有用であったとされ、
1)原子炉動特性の解析…ウラニウム235に中性子が作用して連鎖反応が進行する際に超過反応速度の変化によってどのような状態になるか、
2)自動車の車体振動の問題の解析…自動車が傾斜面を昇る場合、前後のサスペンションを適当にセットしてロールを少なくする必要があるが、
自動車のスピードに応じて車体の重力方向・水平方向の運動を考察することができ、
また、トレーラー、車軸等の結合振動等の問題も解くことができる、とパンフレットには記されている。

その他にも、3)模型船曳引車等の精度の高い低速度運動の制御問題の解析(なんのこっちゃ?)、4)流体問題の解析、
5)飛行機のオートパイロット、翼振動の解析、ロケットに関する問題の解析、6)機械制御装置の設計、振動問題の解析、
7)線型回路の解析、帰還(饋還、フィードバック)増幅器と自動制御の研究、音響系の研究、変調系の研究(なんのこっちゃ?)、
8)化学工場等のプロセスコントロール、等に用いることができるとパンフレットにはある。
さらに、昭和32年11月の電気学会東京支部大会で発表された、次世代機のNEAC -R3型コンピュータの紙一枚のパンフレットもあった。
それによれば、本機は、原子炉関係を含む各方面では、さらに大型の計算機が必要になったため、
本機が開発されたとされており、写真では筐体の数が4つに増えている。

俺の曽祖父も、東芝の技術者であり、こちらについては資料等は残っていないものの、
戦争中は原子力(重電)の仕事で南方に行っており、
まだ米軍による通商破壊作戦が継続している最中に急遽帰国したため、
たまたま乗り損ねた船が魚雷によって撃沈され、命が助かったという話が伝わる。
そのほか、2023年に亡くなった大叔父(祖父の兄弟)も、東芝の技術者で、
やはり原子力関連の事業所で勤めていた(祖父と同様にカトリック教徒であったそうである)。
これらのことから、繰返し型アナログコンピュータNEAC -R型も、
専ら原子力関連の需要に応じて研究開発されていた計算機に違いないと俺は思っている。