タレントのA子が昔から怖い
そう思うようになったきっかけは幼稚園年長で同クラスだったB子がおかしくなったことだった
けれどB子から直接被害を受けたはずの同クラスのC男含めて周りの誰一人B子のことを覚えていなかった

もともとB子は当時子役だったA子のモノマネが好きな普通の女の子だった
おかしくなったのは年長になった辺りからで休み時間は決まって園庭の朝礼台みたいなところで子役A子の歌とダンスを完コピしてモノマネしていた
B子は雨の日も濡れながら歌い踊るのだが先生はなぜか止めない
それだけではなく園で出席をとる度にB子は
「私は天才子役のA子。B子は死んだ」
なんて言うようになった
最初のうちこそ
「B子ちゃんモノマネ上手いね」
と言っていた周りの子も次第に気味悪がってB子に近寄らなくなっていった
ある日何らかの拍子にB子が同クラスのC男から
「お前はA子じゃなくてB子だろ。いい加減にしろ」
と指摘された
それを聞いて怒り狂ったB子はC男に馬乗りになって殴りかかりながら
「私は天才子役のA子だもん!B子みたいなブスでバカで○○(途中聞き取れず)と一緒にするな!」
みたいなことを泣き叫んでいた
そこからは記憶もあやふやだが園に救急車が来てC男が運ばれていったのだけは覚えている
次の日からB子は園に来なくなったし先生に聞いても言葉を濁されて詳細は教えてもらえなかった
1週間位でC男は園に戻ってきたがB子による引っかき傷らしき跡が顔に残っていて痛々しかった
それから園では子役A子の話題もB子の話題も暗黙のタブーみたいになった
それらの話題を誰も口にしないまま卒園を迎えて自分とC男は同じ小学校に行った