石じじいの話です。

彼のホームグランドは四国でしたが、そこでの話です。
じじいは、南から北へのルートを辿って化石を集めていたそうです。
彼の話を聞いたときの子供の私が書いたメモには「あんもらいと」とありますが、これはいま調べたら、おそらく「アンモナイト」の間違いでしょう。
彼はアンモナイトや貝の化石を集めて北に向かって山を登りました。
高い山脈があって、その北側にはサンゴの化石がとれる石灰岩があったのだそうです。
その山脈を超える道を歩いて登ろうとすると、麓の農家の畑で作業をしていたおばあさんがじじいを呼び止めたそうです。
彼女曰く:この道を登ると、山を超える峠に小さなトンネルがある。
そのトンネルをくぐって通ると、死ぬ人がいる。
「そやけん気をつけんさいや」
じじいは驚いて詳しく尋ねたそうです。
「そのトンネルを通るとな、死ぬひとがおるんよ。ひと月以内に死ぬな。」
 >>「そがいなもんやったらあぶのうてみなつかえんのやないかな?」
「いや、死なんもんもおるんよ。死なんかったもんは何度通っても死なんのよ」
「なんぞそれ?」と思いつつ、じじいは道を登りました。
つづく