映像の世紀(20) 〜死のレース〜 鈴鹿2021

それは歴史的パンデミックの最中であった。
本来予定されていた5月から3ヶ月の延期の後、大幅に感染状況が悪化した2021年夏、GTAやモビリティランドによって専門家らの反対を押し切りSuperGT第3戰は強行された。

全国から集まった観客もほんの一時は疫病禍を忘れその興奮に酔いしれたが、すぐに過酷な現実に引き戻された。
レース関係者が入場を始めた頃から感染者は増加の一途を辿り、表彰式を迎える頃には既にコントロールが不可能な状況になっていた

三重県北中部の医療体制は崩壊しており、やがてそれは少しずつ南部へも波及していった。
そして県民は自らの命によってその高過ぎる代償を支払わされるのであった。