テーミス 2014年12月号
日本警世 連載161
グレゴリー・クラークにみる白人の「無知と傲慢」を斬る
「日本は原爆に救われた」とジャパンタイムズに書く豪州人
ジャーナリスト 高山 正之

 お前が白人の男なら東京へ行け。女がほしければテクニックは要らない。街に出て通りすがりの
日本女の髪を引っ掴め。そして女の顔をお前の股間に押し付ければ、それでいちころさ。
 ご存じ“ナンパの神様”を自称するジュリアン・ブランクの戯言を我が国を代表する英字紙『ジャパン
タイムズ』がでかでかと、それも肯定的に載せていた。
 同じ日の紙面には川内原発の稼動OKに朝日新聞以上に怒気で噛みつき、大騒ぎする反原発の
活動家の写真を大きく載せる。隣には「横田めぐみさんは死んでいる」という韓国の与太記事を扱い、
あとは日本の景気後退だとか、日本製のエアバックが米国で問題化したとか。よくもまあ、日本人が
嫌がる話だけを集めたものだと感心させられる。
 英語圏以外の国、例えばイランやマレーシアで自分の国をそこまで嘲り、貶める英字紙を見たこと
がない。
 この新聞は日本人を貶める反作用として、白人をやたらと持ち上げる。
 半世紀前の英外交官ヒュー・コータッチなどは生き神様扱いで「戦没者慰霊苑があるから靖国神社
を潰せ」という主張をまるで福音のようにありがたがる。本人は日本通を自称するが、神社とお墓の
違いも知らない。
 その類いにグレゴリー・クラークがいる。豪州紙の記者として日本にきた彼はジュリアンと同じ、
白人以外に取り柄はなさそうなのに上智大教授に招かれ、JETOROに雇われ、多摩大学長に就任
し、さらには小渕内閣でも偉い役に就いた。
 そこまで優遇されるワケがわからないが、もっとわからないのがジャパンタイムズに書いた彼の
「先の戦争はいかにおわらせられたか」という一文だ。