杉本は「虐待をやる人には、自分のフラストレーションを動物に与えているうちに、それが快感に転化していき、
自分を見失って終わりのない虐待につながっていくパターンと、自分の都合で手が回らずに放置する、
ほぼ罪の意識のないネグレクトという、2つの傾向があります」と指摘。
さらに、その前者に当たる事件の公判を傍聴して実感した思いを語った。

「こういう非人間的な行為をする人って、世の中に絶対数いるんですね。昔から動物虐待はあったと思いますが、
SNSが発達した社会ではものすごく人の目にさらされることになり、動物虐待という罪を犯す人もまるで自分が
ヒーローになったような感じになって、自己承認欲求を満たす快感を得ている。
そして、お互いに挑発し合ってエスカレートしているという社会の病理的な部分が動物虐待に一番顕著に表れているのだと思います」

今回の法改正によって、動物殺傷は現行の「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」から「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」となった。
少しの前進はあったが、根本的な解決にはまだ遠い。「黒ムツ」という極端な例だけでなく、悪意はないつもりでも、
動物を苦しめる「無自覚さ」が広がっていると危惧する。

杉本は、行政が掲げる「殺処分ゼロ」の背景には、(1)動物愛護団体によるサポート、(2)行政側のカウントの仕方、
(3)行政の引き取り拒否…といった「カラクリ」があると、著書の中で指摘。
さらに、ペットショップの裏側にある悲劇、テレビ番組で視聴率を稼ぐために使われる動物たち、それに対して発信者も
視聴者も違和感を覚えないこと、安価な食料として大量生産される影で苦しむ畜産動物たち…。山積する問題を挙げる。

「いつまでも法律が動物をモノとして扱っているから、その感覚が国民に浸透していて、どこかで動物をモノとして扱う
ことがまかり通っている。もちろん、そこに違和感を持つ人もおられますが、動物に対してビジネスとして利益優先という
感覚の人が結構いるのは事実です。動物に関する日本の法体系に違和感を持たないこと、道徳観のなさ、未成熟感を
すごく感じます」。そうした危機感を持って、杉本は今後も啓発活動を続けていく。