習近平はララを連れてランジェリー・ショップに来ていた。
「うわぁ〜! 可愛いお洋服がいっぱ〜い! ……って、ピンちゃん? 下着ばっかりなんですけど!?」
「当たり前さぁ。ここはランジェリー・ショップなんだからね!」
取り敢えず着せて来た白のワンピースに白い帽子でララは真っ白だった。習は粘ついた笑顔で振り返り、言った。
「君はこれからここでピンク色に変身するんだよぉ」
「ご予約されていた習様でございますね?」店員が言った。
「そう、今日、この店は僕とララちゃんの貸し切りさ」
「国家主席の、習近平様でございますね?」店員が念を押した。
「何だよぉ」習は口を尖らせた。「国家主席がこういう店に来ちゃいけないとでも言うのかよぉ?」
「いいえ」店員はそう言うと、カウンターの下から銃を取り出した。「歓迎光臨!」
「ヒィィッ!?」
「キヤァァッ!?」
悲鳴を上げた時、ララの両腕は既に黒く、店員の構えた銃口を指で塞いでいた。
「貴様、素人か?」泣き顔のララの口だけがニヤリと笑った。「習近平の傍にはいつでも黒色悪夢(ヘイサー・アーマン)が漂っていることを知らんのか?」
黒い腕が掌打を放ち、店員の顔がグシャグシャに潰れる。
周囲の入口という入口から黒服に身を包んだ男達が銃を携えて流れ込んで来た。
「15人か」ララは徐々に全身を黒く変えながら言った、「どうやら知ってはいたらしいな」
完全に身体を交代し終えたメイファンは、鼻で笑った。
「だがそれでは少なすぎるぞ」