本来、職場の中で先輩から後輩に行われる人権侵害行為は「パワハラ」と
呼ばれてきた。しかしパワーハラスメントは、業務上の横暴な指導や抑圧的な
行為を指すことが多く、今回の場合、「横暴な指導」ですらない悪質な
嫌がらせ行為であることから、「いじめ」と形容したくなる気持ちもわかる。

 一方でネット上では「いじめなんて表現は生ぬるい。犯罪と呼ぶべき」という
声も上がっていて、これももっともだ。子ども同士のいじめであっても、最近は
「犯罪として対処できるほど悪質なものはそうした方がいい」といった声も多い。
今回被害を受けた教諭も、刑事告訴を検討しているという報道もある。

 個人的には、一昔前よりも「いじめ」の深刻さに対して理解が広まり、
「いじめは子どもが遊び半分で行う軽い加害行為」といった認識から、
「人の一生を傷つけることもある深刻な人権侵害」へと言葉の受け取られ方が
移行しつつあるとも感じる。これは「パワハラ」「セクハラ」も同様だ。

 言葉への認識はさておき、実際のところ、今回の小学校だけではなく、
職場などで「大人のいじめ」に遭ったり、目撃したりしたことのある人は
それなりにいるのではないか。パワハラとも呼べない、幼稚な「大人のいじめ」の
実態を聞いたところ、複数のエピソードが集まった。