実は俺・・・見ちゃったんだよね。
コジが近所の孤児院の玄関前に段ボール箱を置いて立ち去る現場を・・・
慌てて駆け寄って段ボール箱を確認すると
「気の毒な孤児たちにプレゼントです。匿名希望より」
と張り紙がしてあった。
そこに孤児院のシスターが出てきて言った。
「まあ、また脚長おじさんからプレゼントだわ!」
そしてシスターは段ボール箱を開封した。
中から出てきたのはちびっこ達に大人気のパズルブック『学校の事件簿』や『コタローと謎の村』だった。
シスターは言った。
「いつも張り紙には匿名希望と書いてあるから脚長おじさんの正体がわからないのよぉ。
本当にどこのどなたがこんな善行を・・・」
俺は喉元まで出かかった「脚長おじさんの正体は小島一志先生ですよ」という言葉を飲み込んだ。
小島さんが正体を隠しているのなら俺の口からバラすのは良くないと思ったのだ。

道路の向こうを眺めると小島さんの大きな背中を夕日が美しく照らしていた・・・