ABECのレーティング・システムは1、3、5、7、9のグレードが設定されている。
この数字が高いほど許容誤差が小さく、つまりそのベアリングがより精密であるということになる。
高精度で許容誤差が小さいことは、
毎分二万から三万という超高速で回転するような機械に使われ高回転を求められるベアリングに要求される。
このような用途ではABEC7あるいは9のレーティングを持つベアリングが適している。
しかし54ミリのウィールが毎分二万回転すると、そのスケートボードは時速200キロ出てしまう。
スケーティングはどんなスタイルであれすべて時速50キロ以下なので、
ウィール内のベアリングの現実的な最高回転数は約4,700である。
またおそらくスケーティングの九割は毎分2,000回転以下なので、
超高精度のベアリングはスケートのスピードには必要ない。
ABECの基準によりコントロールされる外形寸法と許容誤差には、
レースウエイの直径や幅、形状、走行面の滑らかさも含まれている。
ただABECのレーティング・システムは、横方向からの負荷、衝撃に対する抵抗、素材の選択、注油が適切であるか、
ボールリテイナーの種類、ボールのグレード、ボールとレースのすき間、取り付け時の必要条件、
メンテナンスとクリーニングの必要性などについては触れていない。
しかし、これらすべてのデザイン上の必要事項は、スケート用ベアリングのパフォーマンスにとっては極めて重要である。