林弓枝に捧ぐ

【歌集】

生きていた 大和撫子 涼やかに 貴重な気する 今の日本に

穏やかな 暮らし望むは 十五年 石と氷の 冷たさゆえか

氷上に 胡蝶の舞の ひらひらと 昔の事に 思える春よ

寒桜 厳しき冬の 風雪に 花咲かせんと 枝弓なりに

父の遺志 伝道の任 果たしてか 故郷の神社 そぞろ足向け

転々と 女給や子守り 生活(たつき)ゆえ ふるさとのみが 心の支えか

弓の枝 言い得て妙な 強靭さ 親の願いを 体現せしか

なにゆえに 苦労背負込(しょいこ)む それほどに 君の来た道 切なき思いす

北見とて 春が来たかや オホーツク 流氷溶けたか 桜咲いたか