468可愛い奥様2020/08/24(月) 08:29:38.63ID:5T6SI9Wi0
312可愛い奥様2020/03/19(木) 15:11:03.62ID:LV+xmyny0
「殉愛」p135〜
手術の日から病室に泊まっていたさくらは、これ以降、ICUに泊まり込みでたかじんの世話を
することになった。
その一方で、さくらは縫合不全についてネットで検索し、自分なりに調べていた。その中で
「術後吻合部狭窄に対するバルーン拡張術」という論文を見つけた。著者は順天堂大学医学部
附属順天堂医院の富田夏実ら六人の医師だった。それによると、食道が手術後に狭窄を起こした
場合、「ブジー」という医療器具を使うと回復が早くなるという。狭窄部分に風船のようなもの
(バルーン)を入れ、それを中で膨らませて、狭くなった部分を拡げるという方法だった。
さくらはチーム林の医師たちに「ブジーはありますか」と訊ねたが、三田病院には旧式のものしか
なかった。そこで順天堂大学に電話して、最新のブジーの機能と効用について詳しく質問した。
さらに慈恵医大、国立がん研究センター、大阪の成人病センターにも電話して訊いた。どの病院も
旧式のものとは効果がまるで違うという回答だった。
さくらは三田病院に「新しいブジーを入れてほしい」とお願いした。しかし返ってきた答えは、
「すぐには難しい」というものだった。「どうしてですか?」「予算の関係もあります。新しい
設備を購入するには、理事会に諮らないとならないので」「お金の問題ですか」病院側ははっきり
と答えなかったが、さくらは、お金で済む問題なら自分で何とかしようと考えた。
四月二十二日、さくらは思い切って伯父に電話した。