Q:
市道上に、個人所有の土地から樹木の枝が伸び、歩行者や自動車が当該枝を避けて通行せざるを得ない状況になっているため、道路管理者として、当市は数回にわたり土地所有者に対し樹木の剪定の依頼を行いましたが、土地所有者は市の依頼に応じようとしません。
市が、個人所有の土地から伸びてきた枝を剪定することができますか。

A:
 民法233条1項は、「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。」旨を規定していますから、市は、土地所有者に対して、樹木の枝を剪定するように請求することができます。
しかしながら、土地所有者が市の請求に任意に応じてくれない場合には、樹木の剪定を求める訴えを提起し、判決を取得した上で、強制執行手続によらなければなりません。

 また、市道に張り出した枝により、市道の通行が著しく困難になっているようなときは、裁判所に枝の剪定を求める仮処分申請をすることも可能です。
この場合には、仮処分により、訴訟手続で判決を得たのと同じ結果を得ることになりますから、仮処分手続で審尋(相手方を呼び出して紛争に関し相手方の主張を述べさせる手続)が必要になります。
また、仮処分命令を発してもらうためには、保証金を供託する必要も出てきます。

 このように、民事手続によっても、市道上に出てきた枝を剪定することは可能ですが、裁判所の力を借りる必要があり、時間的にも短時間に処理することが難しいといわざるを得ません。

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