>>713
大石慎三郎氏も、『松平郷というのは行ってみたら面白いですよ。ずっと入って
いって役場のあるところから、今度はもう一つの支流を入るんです。そこまで行き
ますと右と左が断崖絶壁で、その上から石でも落とされたら、中へ入り込めない
ようなとろなんです。それをずっと入って一番奥の、いよいよ行き詰まりのところが
徳川(松平)家が出たところなんです。
 農耕地があるわけではないから、矢作川周辺の平野部で秋になって稲などが実って
波打ちだすと、そこから馬に乗って走り出てくるわけですね。それで自分の縄張り
から年貢など半ば強奪のような形で取り立てて、一番豊かなところからいろんな
ものを召し上げて、ついでに娘なども何人か召し上げては逃げていくわけですよ。
追っかけてくるとそこへ逃げ込むわけです。険しい山に逃げ込んで崖の上から
石などを落とす。「騎馬民族」ならぬ「騎馬山賊」です。兵農分離というけれど、
初めから農耕していた者が領主になったわけではなくて、別の出自がなっている
のです。』(『米が金銀を走らせる』『日本人とは何か』)より。
川柳から、「大名の過去は野にふし山にふし」(柳多留拾遺一◯)[大名のご先祖様らの
出自は、山野で山賊生活しよった分際に過ぎん]と、江戸期の庶民は大名武家役人の
出自を知っておったのに、お役人武士は先祖の仮冒家系捏造偽装大嘘や黒塗り隠蔽で
綺麗事に作り体面保つ馬鹿げなことしよんで。武士の源流出自が、われんレイシズムで
汚れた階級云うたところで、小作農民からしても、今なら自分達より下の被差別系の
賎民に成るわけじゃし、可笑しげな事云うのう。