(民進党代表選を問う:3)政権交代、必ずある 小沢一郎自由党代表
http://www.asahi.com/articles/DA3S13101562.html

 ――小沢さんは政権が代わった1993年、2009年双方の立役者です。政権交代はまたありますか。

 「必ずある。政権交代ができて初めて民主主義が機能する。与党がいい加減なことをやれば、国民がすぐに政権を代えることができる状況が必要だ」

 ――東京都議選では自民党が惨敗する一方、民進党は受け皿になれず、小池百合子都知事の都民ファーストの会が圧勝しました。

 「安倍内閣への不満が国民の間に鬱積(うっせき)していることが、小池さん圧勝の要因だ。給与の格差、雇用の格差、地域間格差。
年金、医療の不確定さ。みんなそれぞれ不満を持っていて、自民党に代わる勢力を求めている。その勢力、受け皿ができれば、衆院選でも都議選と同じ現象が起きる」

 ――政権交代のためには前原誠司氏、枝野幸男氏のどちらに期待しますか。

 「どちらでもいいが、自民党ときちっと対決できる勢力を作るために、野党第1党たる民進党のリーダーとして旗を振って、呼びかける人でなければならない。
『安倍政権では国民のため、国のためによろしくない』と考える人々、勢力すべてが結集して初めて、国民の受け皿になれる」

 「03年に民主党と私の自由党が合併した時、民主党は今と同じように支持率6〜7%。自由党も1〜2%。
単純に足しても7〜8%だったが、組合色が強かった民主党と、保守的に見られていた自由党が合わさったもんだから、支持の範囲が広がり、09年の政権交代につながった」

 ――民進党代表選でも共産党との共闘が焦点です。

 「確固たる野党共闘こそが政権交代の近道だ。共産党もこちらと一緒になろうと思っていないし、こっちも思っていない。
ただ、今の政権より、国民の生活に目を向けたマシな政権をつくらなきゃならない、という点では一致している。
09年の衆院選でも共産党とは良識的な、間接的協力はした。構図は変わってない。ただ主力になる民進党がハッキリしないだけだ」

 「民進党は何の問題でも結論を出せない。原発や安保、憲法でも。結論もないのに、国民は判断のしようがない。
リーダーは党内で反対する人を口説いて、大枠でまとめていかなきゃならない。私が民主党にいた時は、安全保障政策でさえ、国連中心の政策方針を打ち出し、横路孝弘さんら旧社会党グループの人々にも何とか賛成してもらった」

 ――93年は自民党も割れました。今はどうですか。

 「政権にいる間は、自民党からは出ないだろう」

 ――石破茂氏のように冷遇されている人もいます。

 「党を出る度胸があったら、とっくにやっているのではないかな。こちらは、自民党なんかに期待しない。小泉、安倍政権は競争第一主義。
もともと『みんな一緒に豊かになろう』というのが自民党の哲学だったが、いつの間にか弱肉強食路線に変質してしまった。それでも皆押し黙っている。期待できる議員は今の自民党にはいない」

 おざわ・いちろう 1942年生まれ。自民党幹事長を経て、93年に離党して非自民の細川政権を樹立。
2009年、民主党による政権交代を果たす。昨年10月から自由党代表。