>>706 >>727
>>723の続き。
[ 戦闘で、小隊の指揮が執れなかった反省もなく、其の後も依然部下に威張り、
理由もなく兵たちを殴打する井下少尉を呼び出した三村一等兵は、
「無能な将校のくせに、兵を何と思っている、貴様のような国賊は、生かしておけん。
殺してやるから覚悟しろッ! 」と、手榴弾を発火させ、井下少尉の眼前につきつけた。
信管が発火すると七秒で爆発する。無論、三村一等兵も吹き飛ぶ。
「三村さん、た、助けて下さい! 」井下少尉が蒼白になって、三村一等兵の下に
膝まづいて哀願した。「よしッ、その気持ちを忘れるな! 」三村一等兵は、手榴弾を
遠くに投げた。この手榴弾は、三村一等兵が予め中の火薬を抜いており、威嚇する
だけの物であったが、井下吾一少尉は、三村一等兵に本当に助けて貰ったように
思えて、涙を流しながら何度も頭を下げた。]