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続き。[松井中尉説得による、部隊内の事件を外部に公表することではないという
高度な配慮で、三村一等兵が軍法会議送りにならずに済んだ。…
「小隊長が見えん! 」栗根軍曹が三村一等兵に告げた。
「栗根、臆病者を待っていたら夜が明ける。突っ込むぞ! 」四名で突撃したが
山頂の敵兵は一足違いで退却した後であった。壮絶な白兵戦覚悟で突入したが、
無血占領した。
「よくやった、よくやった! 」小隊長の井下吾一少尉がばつ悪そうに登って来た。
「将校の資格無しッ! 今度、卑怯な真似をしやがったら、射ち殺すぞ! 」三村一等兵が
罵声を浴びせた。]
日本軍は階級が上がるほど、臆病な将校が増えるわけじゃし、上官暴行するもんは、
戦場でも勇敢じゃけぇ、上官反抗暴行罪じゃの部隊内、中隊内で済まされ、告訴の
表沙汰までは行かんケースが多いいんよ。
西洋は将校クラスの臆病も処罰じゃが、日本じゃ神輿指揮官が臆病でもお咎め無しで、
神輿は戦う人じゃ無ぁし、兵、下士官、下級将校でも勇敢なもんが戦うもんじゃけぇ、
臆病な上官が貴重な戦力の兵に殴られても表沙汰にゃせんよ。