大型船解体を許可制に=安全なリサイクルへ新法―政府
12/3(日) 8:20配信 時事通信
政府は2日、廃棄する大型船から安全に鉄などのリサイクル資源を取り出すため、解体施設を許可制とする新法の制定に乗り出す方針を固めた。
施設で働く労働者の安全確保や廃棄物の適正処理を確認した上で、5年を有効期間とする許可証を付与。
許可なく解体した業者への罰則を設ける。来年の通常国会への法案提出を目指す。
現在は国内で船舶の解体に関する規制はなく、業者による大型船の解体は年間数件程度にとどまる。
一方、途上国では解体に伴い、船体に使われていた有害物質の飛散、流出による環境汚染や、劣悪な労働条件による事故が問題となっている。
そのため、解体時の安全確保などを義務付ける香港国際条約(通称・シップリサイクル条約)が2009年、国際海事機関(IMO)の会合で採択された。
条約は20年にも発効する見通し。政府は、条約の早期締結に向け新法の制定が必要と判断した。
新法の対象となるのは、総トン数500トン以上の船舶。
解体施設の許可制では、労働者を有害物質などから守る保護具の着用や爆発事故の防止措置などを実施しているか国がチェック。
有害物質の飛散、流出防止、廃棄物の最終処分場所の確保といった環境対策も確認する。
また、船舶所有者に対し条約発効から5年以内に船舶に含まれる有害物質のリスト作成を義務付ける。
リスト作成後は5年に1度、国土交通相の確認を受けなければならない。