関連「人質」


「宇宙の目」に商機、人工衛星画像使って経済活動分析

4/10(火) 10:45配信 CNN.co.jpロンドン(CNNMoney)

人工衛星からの画像を解析し、そこから得られたデータを使って実際の経済活動などを分析する「宇宙の目」の商用利用が拡大しつつある。
こうした取り組みを進めるIT企業は近年、多額の資金調達を実現している。

オービタル・インサイトは昨年、5000万ドル(現在のレートで約53億円)の資金を調達した。
米航空宇宙局(NASA)や米グーグルで働いた経験を持ち2013年にオービタル・インサイトを創業したジェームズ・クロフォード氏は商業衛星の「爆発」を見ていたと語る。

クロフォード氏によれば、同社は地上の巨大な貯蔵施設にどのくらいの量の石油が蓄えられているのかや、ウォルマートの駐車場に何台の車がとまっているのかといったデータを提供できるという。

そして、ここに現実の経済的価値が存在するという。

クロフォード氏は「例えば、スーパーマーケットの車の数は、売り上げの予測に使える」と指摘する。世界中の画像を日々更新し、それを人工知能(AI)が処理するという。
「我々はAIと商業衛星という2つの大規模な変革の真っただ中にいる」

14年創業のデカルト・ラブスは昨年、3000万ドルの資金調達を行った。同社は大量の人工衛星からのデータをAIによって処理している。
最初に自社の科学技術を応用したのは、米国のトウモロコシ生産についてのモデルを構築するためだった。

人工衛星からの画像は、トウモロコシ畑の位置の特定や、畑での成長具合の把握、収穫量の予測などに利用された。

デカルト・ラブスの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のマーク・ジョンソン氏は「人工衛星は世界全体の画像を撮影している」と指摘。
そうしたデータの処理に機械学習技術を利用することで、地球をよりよく理解できるようになるという。

400万ドルの資金調達を行ったスペースノウは地上の観測画像と他のデータを組み合わせて経済指標を作り出している。
同社は中国全土で6000の産業用施設を追跡しており、製造活動に関する指数を算出している。

オービタル・インサイトのクロフォード氏は、こうした地理空間の分析が将来は、気候変動や食品の安全性などビジネス以外の分野にも広がるのではないかとみている。

カルト・ラブスのジョンソン氏はまた、人工衛星データが実在の人々を手助けすることに使われる可能性があると指摘する。
例えば、ロスアラモス国立研究所では同社のデータを使って、よどんだ水がたまったプールを見つけ出すことで、蚊が発生するリスクを地図化し、予防措置を導入することが出来たという。