77 無名画座@リバイバル上映中 [] 2018/07/11(水) 12:29:31 ID:QOdQvLYX
>>76
撮影現場で、当初はシナリオになかった燃えながら走り抜ける牛のシーンをタルコフスキーが思いつき、スタッフ達に嬉々として提案する
急遽近辺の農家に撮影用の牛の手配をするスタッフ達(牛を燃やす件については農家には知らせていない)
しかし生憎と牛は手配出来ず馬に変更して準備が進められるも、馬の生命に危害が及ばない範囲の特殊撮影とばかり踏んでいたスタッフ達はその撮影方法についてタルコフスキーと話し合おうとするも
「なーに簡単な事じゃないか、馬を燃やすくらい」と談笑するタルコフスキー
さて、そうは言われてもやはりいざ事を実行する段階になるとスタッフ達が及び腰になるのも当然
そんな雰囲気に苛立ちを隠せないタルコフスキーは、怒り心頭でスタッフ達に言い放つ
「何をやってるんだ!いいか?これは芸術的なシーンなんだ!私のインスピレーションは芸術の神々からの啓示なのだ!君たちは芸術的な作品に携わりたくて私の下に集まって来たんだろ!」
!」
「もういい!私がお手本を見せてやるからよく見てろ!カメラマン!抜かりなく撮影しろよ!」
と厳しく言い放ちながら1斗缶に入ったガソリンを何も知らずに佇む馬の身体にぶちまけるように浴びせ、マッチを擦って馬に放り投げる
一気に燃え上がり、断末魔のいななきを辺りに響かせながら悶え走り出す馬

震え上がるスタッフの後方には、憤怒の表情の農奴が鍬や鎌を手にいまにもタルコフスキーを殺さんばかりのムードで睨みつけていた
そんな事態を収拾すべく必死に農奴たちを説得するスタッフの光景

以上が撮影当時のスタッフ達が後に語ったドキュメント