「えっ、嘘でしょ。そんなに可愛いのに。」
「お兄ちゃんが禁治産者だから昔から結婚なんて諦めてて…。進学校で唯一高卒就職するから同級生には見下されてたしね…。」
「どうして就職したの?」
「お父さんが借金して蒸発してしまって…。お兄ちゃんと専業主婦のお母さんと私だけ残されたの。
お兄ちゃんは自殺するしお母さんはショックでおかしくなるし…。
お兄ちゃんの保険金で借金は返せたけど
お父さんが叔父さんにまで借金したせいで
何の罪もない優秀な従兄が大学進学を諦めたから私だけ進学したらいけないと思って就職することにしたんです。」

「そんな!嫁ちゃんは悪くないのに!」
「ずっと、そんな優しい言葉をかけてくれる人を探していたんです。
私今までの人生で不幸しかなかったから…。
就職してババアさんにいじめられても
けど、俺さんがババアさんに付きまとわれて困っているのを見て仲間がいるんだ!って心強く思えたんです。
私は俺さんみたいな優しくて暖かい人をずっと待っていました!付き合ってください!」
「本当に俺で良いの?」
「俺でいいの?なんてやめてください。俺さんじゃなきゃ嫌です!
25歳までに結婚して赤ちゃん産みたいから人助けのつもりで付き合ってください!
こっちもババアさんから助けてあげたんだから!ネ??」
やはり怖い女だ。
ここまで言われて断れる男なんていないよな?
それからは他の社員から嫉妬と羨望の眼差しで見られていたがみんなから祝福してもらえた。
俺と嫁はこの出来事の半年後に結婚した。
新婚なので残念ながら赤ちゃんはまだいないが
嫁が若いのですぐ出来ると思う。
嫁もようやく幸せになれたからもっと幸せにし
と行くことが俺の務めだと思っている。