そして3月下旬、俺の誕生日
家に帰ると俺の好物がテーブルに並び、菓子作りが趣味の妻お手製のバースデーケーキがそこにはあった
豪勢なディナーだったが、何かカタチの残るプレゼントはなかった
思い返せば、何か贈り物をもらった記憶がない
婚約指輪のお返しがあったわけでもない、クリスマスには妻が欲しがっていたヴィンテージの腕時計を贈ったが俺は何も受け取っていない(やはり手作りクリスマスケーキはあった)
2月の妻の誕生日に重なるように海外クルーズを申し込み、海外旅行の経験がない妻の両親も招待して、船上で妻の誕生日は祝った
感謝はその都度されるが、何かこちらが贈り物を受けることはない
初めて出会った日に食事に行こうと誘われていたのでその日にあるのかも、と思い期待していたが何もなかった

妻は家庭人としては申し分ない
家の設備、家事、家計の管理、どれも非の打ち所がないし、俺の両親との付き合い方もつかず離れずで、見事なさばき方だと感心している
誕生日プレゼントがない
たったそれだけなのだが、むなしさを感じる
元カレから靴の話をされていなかったのなら、俺もそんなにこだわらなかったのかもしれない