今になってど真ん中の愛がわかる。
嫁は基本自分に無関心。
例えば酒を飲み過ぎて帰っても何も言わない。
「大丈夫?」とは一応聞くけど
サラッと出かけていく。
吐こうが何しようが放っておいてくれる。
楽でいいなあと最初は思ってた。
歳をとったからか最近思い出した。
ど真ん中は飲みすぎるとやたら怒った。
水を何度も冷蔵庫から注ぎにきて
「大人なんだからほどほどにしなさい」とか
母親みたいなこと言ってた。
翌朝にはしじみの出汁の効いた味噌汁や
納豆や魚や炊きたてのご飯を出してくれた。
いつか言ってた「体が心配なの」が可愛かった。

馬鹿だったから気付かなかったけど
優しさや愛情って
優しい言葉を使うことだけじゃない。
これだけ歳をとらなきゃ気付かなかった。
優しさも歳をとるなら
彼女はいまどんな風なんだろうかと考える。
綺麗な人だったんだ。
どうせセオリー通り幸せなんだろうなと思うと癪だった。
でも綺麗だから優しいから真面目だから
幸せになると限らないってわかってから
途端に考えてしまう。
結局はずる賢い奴の方が幸せを掴む気がする。
彼女はどうなのだろう。
寂しい思いをしてるならそばにいきたい。
過去に戻ってやり直せたらいいのに。