廃墟の世界に踏み込んだのは、お寺や神社を探求しているうちに、地味なところに行くほど
廃墟との出会いが増えていったことかな。
明治の廃仏毀釈、そして国家神道によって個人の崇拝が稲荷神社を激増させることとなり、
戦後からの高齢化により神社の世話役がいなくなり、特に稲荷神社系の廃墟が増えてきた。
最初はどうして稲荷神社が特に廃墟化が多いのだろうと不思議だったけど、歴史を調べてみると
本家の伏見稲荷神社でも、デープなお塚信仰(自然石に神様の名前を刻んだ一見するとお墓ぽいもの)
の数が増えたのも昭和の一桁ごろで、太平洋戦争に向かうキナ臭さが普通の神社では、
国家の繁栄を願う国家のための神社と変貌して行ったので、私専用の神社として
稲荷のお塚信仰が増えたのだという。
また廃墟マニアなら誰もが知っているとまで言われる奈良の白高大神もまた昭和9年に
神のお告げがあったということで始められているが、このような不思議体験をした
人たちが各地で私設神社を建てられた。
そして戦後になり創始者の人たちは亡くなり、後継者に引き継がれたが、その後継者もまた
高齢になり、そうした私設神社は朽ち果てて行っている。
スピリチャルや心霊、カルト系でないため、特に怖いとも思わず、戦前戦後の人々の
心の歴史を感じたいと思うだけで探索をしているが、お塚を見ていると様々な思いを感じる。