米国株、下げて始まる 金融大手の決算を嫌気、米政権への懸念も広がる
2017/07/18 22:52 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=森田理恵】18日の米株式相場は下げて始まった。午前9時35分現在、ダウ工業株30種平均は前日比65ドル06セント
安の2万1564ドル66セント、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は同23.120ポイント低い6291.311で推移している。大手金融
機関が発表した2017年4〜6月期決算で、債券を中心にトレーディング収入が軒並み減少。嫌気した売りが広がり、相場全体の重荷になっ
た。
 ゴールドマン・サックスが取引時間前に発表した17年4〜6月期決算は、債券部門のトレーディング収入が前年同期から40%減った。特
別項目を除いた1株利益は3.95ドルと市場予想(3.39ドル)を上回ったが、朝方は嫌気した売りが先行した。同じくダウ平均の採用銘柄であ
るJPモルガン・チェースにも売りが波及し、相場を押し下げた。18日に発表したバンク・オブ・アメリカも4〜6月期の債券トレーディング収入
が14%減り、下げて始まった。
 米メディアによると、米共和党上院は前日夜、オバマケア代替法案の採決を断念した。月内にも採決予定だったが、党内で反対派が増え
て法案可決に必要な人数を確保できなくなったという。改革期待が一段と後退したことも市場心理を冷やした。
 大型バイクのハーレーダビッドソンが急落。発表した4〜6月期決算で売上高が市場予想に届かなかった。あわせて前期比ほぼ横ばいと
みていた17年12月期通期の出荷台数を6〜8%減に下方修正し、嫌気した売りがかさんだ。半導体大手のアドバンス・マイクロ・デバイス(
AMD)は大手証券による投資判断の引き下げが伝わり、売り優勢で始まった。
 日用品のジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も売られている。朝方発表した4〜6月期決算で特別項目を除いた1株利益が市場予想を上
回った。17年12月期通期の売上高と1株利益の見通しを市場予想を上回る水準に上方修正し、寄り付き前の時間外取引では買いが先行し
ていた。
 ダウ平均の構成銘柄ではIT(情報技術)機器のシスコシステムズやアップル、マイクロソフト、IBMやインテルなどに売りが先行した。
 動画配信のネットフリックスは急伸し、上場来高値を更新した。前日夕に発表した4〜6月期決算で利用者数が市場の予想以上に増えた
ことが好感された。18日はアナリストによる目標株価の引き上げが相次ぎ、上値余地が意識された。航空防衛大手のロッキード・マーチンも
4〜6月期決算を手がかりとした買いが優勢となっている。
 ダウ銘柄ではプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や、石油のシェブロンとエクソンモービル、通信のベライゾン・コミュニケーションズが高い。