>>564
「ガンダム」にフィギュアスケートの技術と芸術性が融合

 右肩には翼とみられるデザインをあしらうこだわりようだ。哀愁も漂わせるボーカルに乗せたスケーティングには、コラボレーションする楽曲やアーティストへのリスペクトの念が深く存在しているようだった。

 プロとなり、演者だけでなく、自ら作品を生み出していくクリエイティブな世界に身を置くからこその舞にも見えた。

自身のファンだけではなく、ガンダムファンをも納得させ、魅了する――。

 そのためにオリジナル作品を存分に理解した上で、モビルスーツの動きなども振り付けに取り入れ、リンクがまるで宇宙空間になったかのような錯覚を植え付けていった。

 演じるのがプロスケーターの羽生さんだからこそ、高さと幅を備えたトリプルアクセルなども組み込んで、ガンダムにフィギュアスケートの技術と芸術性を融合させた。

会場の熱気は最高潮に達し、演目が終わった瞬間、会場内は5000人超のファンによる惜しみないスタンディングオベーションに包まれた。

 客席のいたるところでバナーが揺れる中、羽生さんはリンクサイドのステージへと拍手をしながら歩み寄りながら、観客にも西川さんへの称賛を促し、自らもがっちりと握手をかわした。