ビシッと整備されたゲレンデにスキーヤー、ボーダーたちが勢い良く飛び出していく。レストラン等の屋内にはポップな音楽が流されているが、
屋外には一切音楽がない。にもかかわらず遊園地がオープンした時のようなわくわくした雰囲気がそこには漂っている。

リフトに乗ると御岳山の美しい森林と山岳景観が迫ってくる。右手には乗鞍岳がくっきりと全体像を見せ、後ろを振り返ると広大なパノラマだ。
今孝志自身、初めてここに来た時には 「海外のスキー場に来たような気分だった 」という。本当にその通りで、日本ではなかなかお目にかかれない
雄大な山岳景観であり、ここにはBGMは不要だろう。

「我々のビジネスは気分を売ることだと思っているんです。ご来場していただいたお客様にいかに気分良く過ごしていただいて、気分良く帰っていただ けるか。
そのためにスタッフはどうあうべきなのか。当たり前のことなんですが、お客様のニーズ、ウォンツを把握することに意識を注ぎます。
そうした知的遊学心からサービスが生まれてこなければ21世紀に生き残れるスキー場にはなり得ないと思うんですよ 」。

「ほんのちょっとしたことで、あるいはちょっとしたひと言でお客様が気分の悪い思いをされたら、二度と戻ってきてはくれません。他に競合施設が山 ほど
あるわけですから別にそのスキー場にこだわる必要がないのです。そのためにはまず社員、スタッフに気分よく働いてもらう。それがなければお客様に
伝わっていかないだろうと思うんです。まだまだですが、なんとか一歩ずつ努力し続けて、最終的には日本一気持ちのいいスキー場だと言われたい。
そうすれば自ずとビジネスにつながっていくと思うのですけどね 」。