【2】弁護士会の目的
1,弁護士会の目的について直接規定する条項としては,本法中本条1項が存するだけであるが,本条1項のみでは,必ずしも弁護士会の目的の範囲は明確ではない。
そのためか,弁護士会の目的は,文字どおり,弁護士及び弁護士法人の指導,連絡及び監督に関する事務のみに限られるとして,
極めて狭く解釈する見解もあり,弁護士会の目的の範囲については十分検討を要するところである。

(1)弁護士会の目的の範囲は,単に本条1項だけでなく,弁護士法,弁護士会の会則,会規等の弁護士法秩序全体の中で考察される必要がある。
けだし,弁護士会の目的を本条1項の文言だけに捉われて,弁護士及び弁護士法人の指導,連絡及び監督であると解するだけでは,何のための,
何についての指導,連絡及び監督を意味するのかが不明確であって,これでは,弁護士会が現実に行っているさまざまな活動との関連において,的確に弁護士会の目的を理解することにはならないからである。
また,本条1項には「弁護士及び弁護士法人の使命及び職務にかんがみ,その品位を保持し,弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため」という指導,連絡及び監督の指標が明文で規定されていることも,
十分に勘案しなければならな
いからである。