「ほええええ!恥ずかしいよお!」
隣りからの超絶可愛い叫び声に、喜びと達成感を覚える。恒例になった、さくらちゃんの活躍は素晴らしいですわビデオ記の上映会である。
今や撮影の功労者でもあるケロちゃんも呼びたかったが、早々に眠ってしまったらしく、今日は二人きりである。

「こっ、これ!スカートの結構奥まで映っちゃってる……小狼くんには絶対ぜーったい見せちゃダメだからね!」
「残念ですわ。女神ヴィーナスにも負けないくらいのおみ足ですのに」
言葉ではそう返すが、李くんの血圧のことを思うと、言う通りにした方が良さそうだ。そうでなくとも、最近の彼はどこか疲れているように見える。
さくらちゃんと再開できて嬉しくないはずがないのに。いつも深刻そうな顔をしているのはなぜだろう。彼が孤独を好むかのように、一人で悩む姿を見ているのは心が痛む。私にできることは何か――。

「――ちゃん、知世ちゃん!」
「はっ、はい!」
ぼうっとしていた私に、さくらちゃんがビデオ終わってるよ、と声を掛けてくれていたのだ。
「すみません。ちょっと考え事をしていたものですから」
「大丈夫?すごく難しい顔をしてたよ」
まるで心を見透かされたような一言に、妙に怯んでしまう。
「い、いいえ!ご心配をお掛けしました!あ、お茶のお代わりをお持ちしますわね」
叫びすぎて喉が渇いたらしい、さくらちゃんのティーカップが空になっているのを見て、これ幸いにと席を外すことにする。
「すぐに戻ってまいりますので、その間にケロちゃんのアクションカメラ撮影集をご覧くださいませ」