裁判員裁判:候補者出席率91% 欠席でも処分しない方針
 10月末までに全国で行われた被告47人に対する裁判員裁判で、裁判員選任手続きへの候補者の出席率が91.5%に上ることが、
最高裁のまとめで分かった。
裁判員法は正当な理由がない欠席者に過料を科すと定めるが、実際には適用されない見込みとなっている。
 最高裁によると、47被告の裁判で地裁から呼び出し状が送られた候補者は計3024人。実際に選任手続きに出席したのは計1778人。
呼び出し状同封の質問票への回答で辞退が認められた人は呼び出しが取り消されるほか呼び出し状が届かない人もおり、
これらを除いた選任手続きへの出席義務がある候補者のうち欠席者は8.5%にとどまった。
 裁判員法は、正当な理由がないのに選任手続きに出向かない候補者は、10万円以下の過料に処すと定める。過料は行政処分の一種で、
審理する事件を担当した裁判官3人が決定で支払いを命じる。
不服があれば3日以内に即時抗告できる。
 しかし裁判所関係者によると、現時点では過料を科さない考え方が支配的だという。
過料は担当裁判官の裁量で決まるが、「正当な理由」に基準がない上、理由があるかどうかを調査して判断するのは極めて困難だからだ。
実際に出席率が高く、運用に支障がないことも背景にあるとみられる。【北村和巳】

毎日新聞 2009年12月23日 21時52分(最終更新 12月23日 22時11分)