法曹の給料を下げろ、とのご主張がありますが、多くの裁判官がこの制度に
反対していることをご存知ですか?
裁判官は、自分でこの職業を選んでいることもあり、難事件であっても取り組んで
来ました。その裁判官が今まで自分たちの行ってきた裁判を否定されて
いい気分がしていると思われますか?
裁判官同士なら10分で終わる評議を、2時間、3時間かけなければならない徒労感に
ついて考えられたことがありますか。毎週「私が考えるところ裁判員制度の趣旨は…」
なんて大演説するおじさんの相手をする気苦労を考えられたことがありますか。
この制度が、裁判官の仕事の一部を国民に押し付けて、裁判官の仕事の軽減を
図るために導入されたとお考えであれば、それははっきり言って間違いです。

裁判員法は、裁判所に対しても広報に協力するようにとの規定があるため、
最高裁判所の大号令のもと多くの裁判官が裁判員制度の宣伝をしています。
(裁判官であっても、裁判以外の仕事については、上命下服のシステムです。)
でも、本音で賛成している人は多くありません。検察官、弁護士もそうです。
偉い人は、自分が裁判員相手の裁判をしないから好き勝手言えるのであって
現場は本音ではやりたくないのです。
それでも積極的に広報するのは、「裁判員が裁判所に来てくれなければ
裁判ができなくなり、刑事事件の処理ができなくなってしまう。」との危機感でしょう。
あるいは、裁判員になってくれた人が、裁判が適性に行われていることを確認して
司法への信頼を高めてくれるであろうという希望でしょう。

法曹三者も被害者であることをご理解いただきたいと思います。